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は、背景にこのオープン・システム環境があるのである。従来ならば、異機種システムの接続、国際的な標準機関における長期にわたる詳細な標準化作業を経て策定された標準に準拠することによって実現するものであるが、この標準の策定は各国、各省庁ベンダー等の思惑、戦略、技術秘匿等の障壁がありなかなか進まない状況があり、技術の進歩に遅れてしまうという問題があることは、開放型システム間相互接続(OSI)の失敗で明らかである。この標準化の問題をTCP/IPという事実上の標準によって容易に実現した経緯がある。

一方パソコンの標準化もその普及に大きく貢献している。ハードウェア的には、事実上の国際標準となっているIBM互換機であるDOS/Vの普及が急速に進み、性能アップだけではなく、価格の低下をもたらしている。ユーザーにとっては、メーカを選択し、それによってメーカのアーキテクチュアに拘束されるという問題がなくなり、自由に選択し、しかもそれらが相互に互換性が確保されているという環境ができたのである。長年、ベンダーからの独立が果たせなかったユーザーにとっては画期的なものであることは間違いない。これによって、オープン環境のネットワークに各種機器が接続されるマルチ・ベンダ環境が実現することとなったことは、1つの組織内の情報化の推進と、組織を越えたネットワーク環境の実現に寄与している。

ハードウェアの事実上の標準に加え、いわゆる、中間OSおよびソフトウェア・パッケージの普及もシステム全体としてのオープン化に貢献している。特に、中間OSであるWindowsの普及はユーザの利用環境を大幅に改善している。このWindowsが、パソコンの機種の違いを吸収してしまうという機能を果たしている。ソフトウェア・パッケージは、Windows対応のものならば、機種を問わないという標準化はソフトウェア・パッケージの普及につながるという結果ももたらし、使いやすいソフトウェアの普及がエンド・ユーザ・コンピューティングの進展を促すことになっている。

 

(3)ダウンサイジングの進展ハードウェアのダウンサイジングもまた、急速に進み、大型メインフレームのホスト・コンピュータを中心とする集中システムから小型高機能のワークステーションやパソコンによる分散システムヘと移行しつつある。このダウンサイジングが組織内ネットワークであるLANと接続され、クライアント/サーバー・システムが実現する方向へ進みつつある。メインフレームによる集中システムとクライアント/サーバー・システ

 

 

 

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